2010/02/10

[TOCHIGI] 滑り台

 宇都宮と清水では、どう考えても宇都宮の方が近いですけど、心理的にそうでもないのは…積み上げた記憶濃度の差? 1年前にも訪れたJ-STEPを、さっくり再訪。


キャンプの総仕上げと位置づけられたベルマーレとの練習試合。開始前、ピッチでアップするのはフィールドプレーヤー10人+GK2人のみ。4日前のエスパルス戦で、松田監督が「今日の試合まで選手はシャッフルして起用しようと思っていた」とコメントされていたので、覚悟はして来たのですけれど、スターターに名前を連ねていない現実を直視するのは辛かったです。(もっとも、この試合後に監督は「あまり組んだことのない選手の組み合わせを見ることに主眼を置いた」とおっしゃっているのですが)


★1本目:栃木SC 0-2 湘南★

---09ロボ---08廣瀬---

10高木----------07佐藤

---28練習生--15鴨志田---

06入江-05C落合-19赤井-02岡田

-------01柴崎------


J1昇格を果たしたベルマーレとJ2で低迷した栃木SC。1対1ゆえ地力の差が露呈してしまうならば、連携でカバーすべきなのですけれども、栃木はまだその段階へ達していない(これまでシャッフルメンバーでゲームをしている)ので、苦戦します。特にボランチ(練習生は韓国人選手らしい)が、ベルマーレの相対的に熟成度の高い寄せに対してボールを容易に失うため、バックラインへ大きな負荷がかかり、DFとGK間でも連携不十分から目が丸くなるイージーロストが頻発。幾度も相手へ決定機を自陣深くでプレゼントします。1失点目がまさにそれで、しかも何度目だよ?!と内心で唸った程。2失点目は相手左SBが中盤まで上がってきて左サイドへ供給したパス1本で裏を取られてしまったもので、これまた似たシーンが散見されました。


オフェンスは、まだまだバイタルエリアから先は個人に委ねるしかないステージで、ロボ(味方が横パスを奪われると、思わず天を仰いでました…)がセンターライン付近から一人で運んでいき、自らシュートを放った場面は、まさに今の栃木SCを象徴していると感じました。ロボがゲームメークをせねばならないのです。その中でも、廣瀬さんが持てるスキルとワークをきっちり結合させられる良い選手だという印象を受けました。


★2本目:栃木SC 0-2 湘南★

---09ロボ----20船山---

10高木----------07佐藤

---28練習生--15鴨志田---

06入江-05C落合-19赤井-02岡田

-------22飯田------


1本目途中、一人スタッフに連れられピッチを離れていた船山さんが、公式HPキャンプレポートでの定番装束“上下もっさり着込み”を脱いで参戦。ジャーンとマッチアップします。贔屓の引き倒しなのは認めますが、ポストとしてワンタッチでさばく姿には惚れ惚れします。ボールを扱いの精度や視野の広さはチーム屈指かと。動き出しに反応してボールを出してくれる人がいれば…とねだりたくなる心地。


しかし、課題も多いのです。味方やベンチより飛ぶ声は、ほとんどディフェンスに関して。たとえ相手から奪えても、相手の仲間が奪いに来るから気を抜いちゃいけないという意識の問題から、相手ゴールキックに対してプレッシャーをかけに行くか or not も、最後尾の落合さんに怒鳴って教えてもらうのです。落合さんは、GKのゴールキックをかくしてタッチライン外へ追いやった時には「サンキュー!」とお礼を言ってくれるし、ジャーンの背後圧力に屈せず味方に繋いだ時や、フィードを受けて完全に抜け出した時(結局は倒されてしまいシュートには至らず)も、「ナイス!」と褒めてくれました。よく声の出るキャプテンです。 


寄せられても保持し続けられる技量がないと、松田監督が描いている緻密なサッカーの実現は難しいでしょう。鴨志田さんがボールを失ってしまったのを起点に、あっさりショートカウンターを食らった1失点目はさすがに責めざるを得ません。2失点目は、栃木SC左サイドからのクロスをGK飯田さんが一度ははじくも押し込まれるという、残念なものでしたが。また、このセットでもGKとDFの連携ミスによる決定機プレゼントがありました。


船山さんだって、ドリブルで持ち込んだところで、複数に寄せられたら阻まれてしまうようでは、ドリブルが武器のJリーガーとは言えないのです。現在のチーム状況で味方が委ねてくれるボールなのですから、大切にしなければいけません。チェンジ・オブ・ペースのないフィールドは、時間と共に苛立ちの声で染まっていき、船山さんも話者の一人でした。技量の個人差に由来する、予期せぬリズムでのボールロスと&ゲットの中で、どうやってコレクティブと形容できるフットボールを展開するか。1本目よりはチャンスの作れているイレブンを眺めていると…ゆっくりと歩む亀は、3月の開幕までにどこまで前進できるだろう、と考えてしまうのでした。


★3本目:栃木SC 0-0 湘南★

---08廣瀬-----14林----

25小野寺----------16杉本

---13本橋----23C米山---

24那須川-04宮本-17橋本-26宇佐美

-------22飯田-------


ここに来て、ようやく栃木SCが主導権を握れる時間帯も出現。あくまで一部ですけど…。ベルマーレの選手もチェンジしたから、力量バランスから“2本目までより良く見える”条件があったとも言えるんですけど、細かくボールを繋ごうとする新加入選手の高い意識が頼もしく映りました。ただし、このセットでもバックパスのミスがまたしても。2本目が終わると、すぐさま定番の重装備へ着替えに向かった船山さんも、戻ってきてまったり観戦。しかし、途中でスタッフに呼ばれてアップ開始。まさかの4本目フラグに、私、ちょっと呆然。


★4本目:栃木SC 2-1 湘南★

---14林-----20船山----

25小野寺----------16杉本

---13本橋----23C米山---

24那須川-04宮本-17橋本-26宇佐美

-------22飯田-------


宮本→19赤井、林→30練習生(ブラジル人)

 

持ってくれていた曇り空も根負けして、ついに途中で一時雨もぱらついた4セット目。この日の主審は神経質過ぎるぐらい笛を吹いて頻繁に止める方だったんですけど、船山さんはじめ栃木イレブンは、フリーで抜け出せた決定機で笛を吹かれ(宇佐美さんが一旦外へ出るレベルで痛んだ)ブチ切れ。「練習試合なんだから!」は、そんな文句が観客席まで聞こえてくるという点でも適用されるのですよ~。


3本目に続き、ボールは細かく繋がれ、また構成的に要求しやすいのもあって、2本目より船山さんやりやすそうに見えました。小野寺さんのパスセンス、杉本さんのラン、那須川さんの要求に際して遠慮無用の物言い(船山さんにも容赦なし。後輩でもあるし、当然ですけど「貴之、(相手選手二人)両方見て!」はハードル高すぎ)…新加入選手は染まってないがゆえの利点も有していると理解しました。


船山さんは相手CBに嫉妬したくなるような抱きつかれ方(!)までされ、どうしてもゴールへ背を向けてボールを受ける回数が多く、シューターにはなれず。我慢の果てに、とうとうフィードを受けて完全に抜け出しました。相手DFにチェックされ倒れ、ボールはゴールラインへ流れていき…CKの判定。船山さんが蹴った右CKを、ファーで練習生FWが頭で叩き込み、ようやく栃木SCは1点を挙げたのでした。


更に那須川さんの左サイド突破に対し、船山さんに抱きつき続けた(私もしつこいな…(笑))相手CBがつかみ倒し、勝手に倒れたんだと無茶苦茶な主張をするも、栃木SCのFKに。これをまた船山さんがファーポスト下へ狙い澄ました一撃。いい狙いながらはじかれるも、米山さんが足で押し込んでくれて2点目。2セット目でも、佐藤悠介さんとFKで並び、蹴ったシーンがあって、ちょっと驚いたのですが、4セット目では左CKこそ那須川さんが担当していたものの、プレースキッカーをほぼ任されてました。セットプレー以外でも、4セット目ではチャンスに絡めてました。フィニッシュ打てないのだけが悔しい…。本橋さんと出し手・受け手の呼吸が合ってこれば期待できそうです。


湘南ゴール左へ、今にもゴールラインを割りそうな感じで流れたボール。しかし割らず、コーナーフラッグに止められて、タッチラインも割らずに静止したのです。慌てて駆け寄る湘南GKと、逆サイドから猛ダッシュの船山さんが左コーナー付近で足の絡ませ合いになり、船山さんがかき出せたボールからの決定機は惜しくもハズレ。直後、栃木SC右サイドで相手を倒してしまったプレーがPKとされ、これを左に決められて1点失うも、唯一リードを奪ったセットでした。


試合後、上野優作コーチと語らうベルマーレのコーチ…この方がスタッフジャージなのか、と違和感を覚えずにいられない加藤望さんに駆け寄って挨拶していた船山さん。2004年、この上ない閉塞感に支配されていた日立台・野球場でのサテライト練習試合で、唯一プロの矜持を常に示していたのが望さんなのです。あれから5年以上の歳月が流れ、船山さんも、望さんも、当時では想像つかない道を歩みました。いずれにせよ、前進し続けたからこそ、今の立ち位置があるのです。

皮膚の記憶

努力家を応援するのは公平世界仮説を証明してほしいから。 スージングタッチで癒されないのは昔の男に触れたり触れられたりした記憶が蘇るから。 今の歪みが過去に起因しているのは分かる。 ならば、どうしたらいい?